madVRのスケーリング設定の考察(Jincとデフォルト値)

予備知識として以下の2つの記事を先に読むとわかり易いです。
madVR (ffdshowとのリサイズ画質比較)
madVRのanti-ringingのテスト

今回は以下の専門用語が出てきます。
artifact:hide source artifactはソースのアラを隠すという意味
aliasing:madVRでは主にジャギーの事を指していると思われる


madVR v0.85.8でJincと新デフォルト値をテストした。
テスト時の構成:
プレイヤーはmpc-hc
デコーダーはffdshow、YV12出力をmadVRで720x480→1920x1080。

アルゴリズム名等の略表記:
Bicubic → Bc
Softcubic → Sc
Lanczos → Lz
Jinc → Jn
anti-ringing → ar
例:Lz4+ar、Sc100 → Image(輝度) Lanczos tap4 + anti-ringing、Chroma(色差) Softcubic 100
madVRの設定項目の順序とはImageとChromaが逆なので注意して下さい。
以前の記事でLumaとなっている箇所が今回の記事ではImageとなっています。
これはmadVRの表記変更に合わせた変更です。

HQV Benchmark DVDの1シーンを使ってテスト。
Jn3+ar、Jn3+ar↓
hqv jn3+ar,jn3+ar #1 hqv jn3+ar,jn3+ar #2

Jn4+ar、Jn4+ar↓
hqv jn4+ar,jn4+ar #1 hqv jn4+ar,jn4+ar #2

Jn8+ar、Jn8+ar↓
hqv jn8+ar,jn8+ar #1 hqv jn8+ar,jn8+ar #2

Lz3+ar、Lz3+ar (以下3つはJincとの比較用)↓
hqv lz3+ar,lz3+ar #1 hqv lz3+ar,lz3+ar #2

Lz4+ar、Lz4+ar↓
hqv lz4+ar,lz4+ar #1 hqv lz4+ar,lz4+ar #2

Lz8+ar、Lz8+ar↓
hqv lz8+ar,lz8+ar #1 hqv lz8+ar,lz8+ar #2

Lz3、Bc75 (デフォルト)↓
hqv lz3,bc75 (default) #1 hqv lz3,bc75 (default) #2

Lz4、Sc100 (旧デフォルト)↓
hqv Lz4,Sc100 #1 hqv Lz4,Sc100 #2

負荷の高いJincを使おうと考えている人はanti-ringingも当然使うだろうから、Jincは全てanti-ringing有りで画像を撮った。

madVRの製作者のmadshi氏はJincのaliasingを皆無として、これを持ってJincがもっとも理想的なリサイズ手法としている。

ここで質問に答えているが、
http://forum.doom9.org/showthread.php?p=1611234#post1611234
1. In an ideal world, with the perfect graphics card and CPU, what resizer settings give the best results ?
Chroma and Luma upscaling: Jinc3 with anti-ringing turned on and linear light turned off.
Luma downscaling: Catmull-Rom with anti-ringing and linear light turned on.
だそうだ。

JincとLanczosの比較画像もmadshi氏自身が上げている。
http://forum.doom9.org/showthread.php?p=1595556#post1595556

一般的な画像でのLz4+arとJn4+arの比較。
http://forum.doom9.org/showthread.php?p=1594557#post1594557

madshi氏本人が十分説明してるので、Jincに付いてこれ以上語れる事は無い。
だから実はJincについての記事を書くつもりが無かった。
だけどJincは負荷が高過ぎて利用出来ない環境が多く、私が使っているRadeon HD7750でも1440×1080iを1920×1080にするとGPU負荷が93~97%になるので、カク付きが出て常用出来ない。
Radeonはハードウェアインターレース解除の負荷が高いので、GeforceやIntelよりも余裕が無い。
なのでmadshi氏がベストと掲げる設定よりも低負荷な設定に需要があると考えて記事を書く気になった。

ここで突然だがデフォルト設定の話に移る。
スケーリング手法の新しいデフォルト値のLz3、Bc75は理解に苦しんだ。
ImageのLanczos3は品質と負荷から納得が行くが、ChromaのBicubic75はリンギングが強すぎてImageとのバランスが悪い。
拡大率の大きいChromaはImageに比べてだいたい1/2から1/4程度、リンギングの弱い手法を選択するのが好適だと感じてる。
なによりもBicubicはLanczosより質が悪い。
リンギングが強くていいならChromaもLanczos3がいいし、そうじゃないならSoftcubicが適当だ。
わざわざBicubicを使う意味がよく判らない。
色々考えてみたが、多分hide source artifactが無い(ソースのアラを隠さない)手法の中で他の問題が目立たず、負荷も低いという基準で選んだのだろうと推察した。
madshi氏はImageもChromaもJinc3+arがベストと定義したから、その方針に合うようにデフォルト値を変更したのではなかろうか。
hide source artifactの効果の高い(=にじむ、ボケる)、SoftcubicではJincとは指向が違ってて、一貫性が無くなってしまう。
しかしこのブログではそんな事は気にせず、見た目にリンギングの量が同じかどうかを重視して、設定値を選ぶ事にした。
それが以下。

VGAカードの能力が十分にあり、ImageにだけJincを使う場合の設定、
Jn3+ar、Sc80+ar↓
hqv jn3+ar,sc80+ar #1 hqv jn3+ar,sc80+ar #2
もっと鮮鋭度が高い方が良い場合はJn4+ar、Sc70+arかJn8+ar、Sc60+ar。
もっと負荷を下げたい場合はChromaのanti-ringing無し。
それでもギリギリカク付くなら、trade quality for performanceタブを開いて、「use 10bit chroma buffer instead of 16bit」と「use 10bit image buffer instead of 16bit」にチェック。
10bit処理に変更しても見ても判らない程度の差しかないはず。

Jincは諦めた方が良いぐらいのVGAカードでの設定、
Lz4+ar、Sc70+ar↓
hqv lz4+ar,sc70+ar #1 hqv lz4+ar,sc70+ar #2
私はこの設定を常用。
Radeon HD7750だと最大でGPU負荷40%近辺で、発熱的にも余裕があって無理が無い。

エントリークラスのVGAカードでの設定、
Lz3、Sc80↓
hqv Lz3,Sc80 #1 hqv Lz3,Sc80 #2
HTPCの高画質設定 第4版で紹介した設定。
この頃はanti-ringingがなかった。
どちらかにanti-ringingを掛ける余裕があるならImageの方。
Radeon HD6570クラスだとこの設定が常用限界。

JincとLanczosの実質的な差は、キーボードショートカットでスケーリング手法とタップ数の変更をキーに割り当てて、動画再生中に変更して、自分の目で確認してみて欲しい。
通常の動画ではJincとLanczosの判別が出来ないと思う。
私はブラインドテストで当てられない自信がある。
そういう意味ではJincは負荷の割りには効果の少ない手法と言える。
anti-ringingの方が負荷に比しての効果がずっと高い。
なので今の所個人的にはJinc利用に拘らず、ファンレスのVGAカードで無理なく使える負荷のLanczosで良いと感じてる。
もしかしたらアニメを良く見る人だとまた違う判断になるのかもしれない。


おまけ:
Cutmul-Rom+scale in linear light、Cutmul-Rom↓
hqv cr+sll,cr #1 hqv cr+sll,cr #2

Cutmul-Rom+ar+scale in linear light、Cutmul-Rom+ar↓
hqv cr+ar+sll,cr+ar #1 hqv cr+ar+sll,cr+ar #2
縮小時の手法として選択されているが、拡大に利用するとこうなる。
Bicubic75よりもリンギングが少ないが濃淡が薄い感じになる。

比較用に、
Bc75、Bc75↓
hqv bc75,bc75 #1 hqv bc75,bc75 #2

Bilinear、Bilinear↓
hqv bilinear #1 hqv bilinear #2
リサイズ手法が特記されてない場合はこの手法が使われていると思って間違いない。
手法としては低級でボケは多いが素直。
ボケの多さについては白黒の画像の方で他と比較すると判りやすい。
これよりも鮮鋭度が高く、かつ欠点の少ない方法を求めて、様々なスケーリング手法が生まれた。

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Re: No title

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それを使う事で画質か音質に差が出れば記事にすると思います。
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